岡崎宏司の考察と結論
アウディ ブランドとは? その3
上等なマフラーやタイを、
サラリとこなせるような男に勧めたい
初代TTのデザインは、エクステリアもインテリアもクリーンでシャープでピュア。
2代目のデザインも魅力的だが、明らかに初代と方向は異なる。それは「商品としての魅力」を重視しているということだ。

初代TTは自動車デザイン全体の流れに大きな影響を与えたが、2代目TTにはそうした強烈なインパクトはない。しかし、目立ち度は十分に高く、快適さや使い勝手の大幅な向上も手伝って、初代より確実に幅広い人たちからの人気を獲得するだろう。
TTがいちばん美しく見えるのは斜め後方から見たときだが、特徴的なテールランプ形状、深い奥行きと美しい立体をもつその内部デザインはまるでアートを見るようだ。
スポーツカーとしての初代TTの走りのレベルはナミだったが、2代目のレベルはかなり引き上げられている。とくに、2lターボエンジンを積んだFFモデルの身のこなしの軽快さは魅力だ。ポルシェ・ケイマンと較べるのはさすがにきついが、プラス2のキャビンを持ち、有効なラゲッジスペースをもつファッショナブルなユーティリティ・スポーツとしては、十分満足できるレベルである。
さて、話は変わるが、2代目オールロード・クアトロの存在感は格段に上がったと思う。Q7がラインナップに加わったことで、「SUVのないハンディを埋めるためのピンチヒッター」といった曖昧なポジショニング・イメージからも解放された。
その名に相応しく、どんな道でもどんな場所でも、自在に駆け抜け、自在にアピールできるクルマというイメージが鮮明になった。
シングルフレームグリルが最高に似合うのもオールロード・クアトロの特徴だ。
部分的に見れば、けっこうワイルドな装いなのだが、決して汗臭く見せないところにアウディ・デザインの真骨頂が出ている。
たとえば、銀座の「Apple Store」の前に停めても、最高にカッコいい。
エアサスペンションは5段階のモードがあるが、それぞれのモードがしっかチューニングされているのが嬉しい。いちばん低いダイナミックモードでの速さはハンパじゃない。5段階のモードで車高を変えて視覚的効果を楽しむのも面白い。たとえば、カジュアルに装うときは上から2番目に高いオールロードモードで乗り、ドレッシーに装うときはいちばん低いダイナミックモードで乗る……といったことだが、外から見るとまるで違うクルマに見えるほどイメージは変る。鮮やかで洗練された色合いの上等なマフラーやタイを、サラリとこなせるような男に勧めたい。
(『@ZINO』2007年掲載記事)

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1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。




