ドイツのビジネスシーンは
「濃口」ポルシェが旬! その1
ドイツ経済の中心、
フランクフルトでカーウォッチング
年に数回、私は「クルマを中心にしたトレンドを探る旅」に出る。行く先は、パリ、ミラノ、ミュンヘン、LA等々。つまり、お洒落な人たち、豊かな人たちが集まる街へ行き、スポットへ行って、クルマを中心にした様々なトレンドをチェックするといった旅である。
今回選んだのはフランクフルト。いつもの街とは違い、ファッションの発信地でもないし、トレンドの発信地でもない。フランクフルトはドイツ金融の中心地であり、リッチなビジネスマンが闊歩する街だ。
市の中心エリアに、威信を競い合うように聳え立つミラーガラスの超高層ビル群も、その多くは銀行を始めとした金融関係のものである。そう、今回のトレンドウォッチングは、ドイツ経済の中枢を担うようなビジネスマンたちが、どんなクルマをどのように愛用しているのかをチェックするのが主な目的だった。
チェックポイントは、近くにフランクフルト随一の高級ショッピングエリアのある、とある交差点付近。たぶんフランクフルトでは、もっとも魅力的なクルマたちと、魅力的な人たちが行き交う場所である。
まずはランチタイムを挟んだ時間帯だが、むろん、メルセデス、BMW、アウディが圧倒的に多い。しかし、際立って目立っていたのが911とMINI。この時間帯には当然、女性ドライバーが多く、十数台ほど見かけた911の3分の1くらいは女性がステアリングを握っていた。年の頃はミドルからシニアが多い。目の前を通り過ぎるのを見ただけだが、「どうして!?」、と首を傾げたくなるほど魅力的な女性ばかりに思えた。
たまたま、ゲーテ通りで、黒のカブリオレから降りる女性と出会ったが、彼女はとにかく、素敵だった。栗色の髪を無造作にポニーテールにまとめたジェニファー・アニストン風の雰囲気の女性だったが、白のシャツブラウス、スッキリした細身のシルエットと洗練されたバックポケットのジーンズ、白とシルバーのレザースニーカー……身長は175cmくらいだったと思うが、幌を閉じたカブリオレから美しい身のこなしで降りてきたときは、思わず足を止めて見つめてしまった。肩にかけたバイオレットがかったブルーの大きなバッグも鮮やかだった。
歩道に立つと、手に持っていたケータイに一瞬目を向けただけですぐ耳に当てた。ワンタッチダイアルでかけたのだろう。コンパクトなストレートタイプのケータイはNOKIA。私の大好きな機種だった。そして、笑顔の短い会話を終えると、彼女は軽やかな足取りで「トッズ」に入っていった。
私の911のイメージのノートに新しい1ページが加わった。大人の女性と911が、素晴らしい相性をもっていることがよくわかった。
写真/千葉 充
(『zino』2007年12月号掲載記事)

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1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。




