2008.09.16 09:30
時速300kmのエレガンス
NISSAN GT-R その3
エレガンスを身に纏った高性能車の誕生
新しいGT-Rが備えているのは凄まじい高性能だけではない。
穏やかに街を流すことも難なくこなしてみせる。それも、BOSEサウンドを楽しみながら、まったくイージーに、である。

GT-Rは一見して強面だが、圧倒的パフォーマンスの持ち主という裏付けを伴った、強烈な存在感に惹かれる人は少なくないと思うし、高い精度感/品質感を直接目の前にすれば、強面の印象も和らぐはずだ。
とはいえ、もっとエレガンスがほしいといった注文をつける人も、当然のことながらいるだろう。
私もそんな一人だが、私ならまず色でエレガンスを演出したい。
正式発売を2週間後に控えた11月15日現在、先行予約受注は月販目標200台の11倍を超える2282台に達しているとのことだが、ボディカラーはホワイトとブラックが圧倒的人気らしい。
ちなみに、GT-Rの仕掛け人でもあるカルロス・ゴーン社長にも、日本用にはホワイト、フランス用にはブラックのGT-Rが納車されると聞いている。
さて、エレガンスの演出に話を戻すが(こんなスペックが用意されているかどうかはわからないが)、私なら、艶やかなミッドナイトブルーのボディカラーに、上品な明るめのグレイのトリムを組み合わせたい。そんな装いのGT-Rに乗せてみたいのは、たとえば、キアヌ・リーブス。お得意のブラックジャケットにグレイのTシャツ姿で……。
そして、乗り付けるのはパリのプラザ・アテネ辺りがいい。高級ブランドショップが粋に静かに軒を並べるモンテーニュ通りに面した、贅沢で華やかなホテルである。
直に、歩道に面したエントランスの前は、ロールスロイス、フェラーリ、ランボルギーニといったクルマたちの溜まり場といった感さえあるが、そこにクールに乗り付けてほしい。きっと、そうとうなインパクトがあるはずだ。微妙なグレイのアルマーニのスーツを着けたジュード・ロウ辺りもいいかもしれない。
女性なら、白のパンツスーツで、スポーティにエレガントに装ったハル・ベリー辺りもキマリそうだ。
とてつもない性能は誰にでも認めてもらえるだろう。しかし、スピード教の信者たちに支持されるだけでなく、こうしたきらびやかでエレガントな世界にもうまく踏み込めるかどうか……私は、そこにGT-Rの未来のポジションを決める重要な要素があるように思えてならない。
(『zino』2008年2月号掲載記事)




1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。




