2008.09.16 09:30

岡崎宏司の考察と結論
ポルシェ911 その3

カブリオレとタルガ

 ファッショナブルな911となれば、当然カブリオレとタルガの名が挙がる。

 たとえば、カリフォルニアのトレンディなエリアでは、911の半分近くを占めるのではないかと思えるくらいにカブリオレは多いが、気候的にも、背景的にも、カリフォルニアと911カブリオレは実によく馴染む。

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 ソフトトップは美しく仕上げられ、CD値もカレラ4Sで0.29とクーペと同等だ。 他のカブリオレのCD値をすべてを知っているわけではないが、少なくともこの数値が並みのものでないことは間違いない。

 高速での風音もよく抑えられている。250km/hでのキャビンの会話でも、少し声を高めるだけで足りることを確認している。

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 911カブリオレはフォーマルな場にも馴染む。もちろんTPOは意識しなければならないが、ブラックタイ指定のパーティ会場へオープンで乗り付けるのもいい。以前、サンタモニカでパーティに招ばれたとき、濃紺のカブリオレをオープンで乗りつけたヤツを見たが、すごくカッコよかった。

 そんなことをやるヤツだから、フォーマルな装いもむろんトレンディに決めていた。

 カブリオレは、トップを開けたときは全身を人目に晒すことになるし、多くの視線も集まる。女性が同乗していたら、周囲では二人の品定めと振る舞いの批評会が無言のうちに始められる。だから、カブリオレ、とくにハイエンドのカブリオレをオープンで乗るときは、それなりの覚悟と心掛けが必要だ。

 しかし、クローズドにすると一変して外部との隔離感は強くなる。だからとくに女性と乗るときは、TPOとその時々の雰囲気で、トップの開閉をしっかり使い分けたい。

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 一方、巨大なガラスルーフを持つタルガも、カブリオレと並ぶ、とてもスペシャルな存在だ。

 カブリオレはトップを開ければ開放感が、閉めれば隔離感が強くなるが、タルガは常に外からの視線を感じる。数が少ない分目立ち度も高いし、リアハッチまで続く艶やかなガラスルーフと、ポリッシュ仕上げされたルーフサイドエッジのアルミのトリムストリップのコンビネーションも否応なく目に入る。

 常に見られているという感覚は心地よくもあるが、タルガに乗るときは常に、装いを、ドライビングを、同乗者との距離(とくに女性の場合は)を意識しておく必要がある。

 タルガのルーフからキャビンに差し込む大都会の夜の光が、男と女を妖しげな感情に誘っても不思議はないし、雨の日は一本の傘に肩を寄せ合っているような気分にもなる。

 ツーッと頭上を走る雨粒を感じながら、シャーデーなんか聞いていたらかなり危ない。

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 とにかく、タルガは、お洒落で都会的で、場合によってはとてもセクシーでもある。

 カブリオレよりカジュアル度は高いが、気を抜いては付き合えない。タルガは、今、いちばんお洒落な911だと私は思っている。

 なお、従来型まではけっこう気になったトップヘビーによるスタビリティへの影響も、問題ないレベルにまで抑えられている。

 クーペにするかカブリオレにするかの決断にはとくに悩ましさはない。走りを楽しむことを優先したければクーペを選び、風と陽ざしを浴びる心地よさと、ファッション度を優先したければカブリオレを選べばいい。が、そこにタルガが加わるとけっこう悩ましいことになる。でも、そんなことで悩むのはとても幸せなこと。あれこれ妄想をも思い描きながら、大いに悩むことを楽しんでほしい。

 

(『@ZINO』2007年掲載記事)